患者さまのお悩み

2017年5月24日 水曜日

生薬について

  漢方に使われている生薬について少しお話しましょう。
  生薬のほとんどは、いわゆる草根木皮です。この中には種子や実、きのこ類なども含みます。動物由来の生薬や鉱物由来の生薬もありますが、あまり使われません。保険の漢方薬で使われているのは、それぞれ2、3種類程度です。ほとんどが植物由来といってよく、それを煎じたものが漢方薬ですから、漢方薬は野菜のスープと考えられ、食事ともいえます。食事はお腹がすいている時に取るので、その考えから、漢方薬はお腹がすいたときに内服することになっているのです(これは原則で、必ずしも従う必要はありません)。韓国ドラマに「チャングムの誓い」というのがありました(見られた方も多いかと思います)が、中国の使者(糖尿病で体調良くない)が来たとき、厨房の女官であったチャングムたちが、食事で体調を回復させるというのがありました。これは食事で糖尿病に治療をしたのですが、薬が食事になっただけで、食事は薬ともいえ、薬と食事の区別はよくわからなくなっています。実際、料理でよく使われる生姜は漢方薬でもよく使われる生薬です。漢方では食べ物は薬は同じレベルのものと言ってもよいかもしれません。
 しかし、食べ物でも、ソバを食べてアレルギーを起こす人がいるように、漢方薬でもアレルギーを起こす人はいます。また、トウガラシなどを食べて胃を悪くしたり、下痢したりする人がいるように、漢方薬でも同様の胃腸障害を起こすことはあります。その他にも、少ないとはいえ、副作用がおきることはあるので、食べ物も全く安全とはいえないように、漢方薬も全く安全なものとはいえないので、ある程度の注意は必要です。といっても、食物と同じレベルで考えてもらえればよいので、さほど神経質になることはありませんが。
 生薬と漢方薬がゴチャゴチャになった話になっていますが、現代薬とちがって、漢方薬はかなり身近なもので、食事や食べ物と同じに考えるとわかりやすいです。

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2017年4月18日 火曜日

たまには症例を

たまには実際の症例の話をしましょう。今までで強く印象に残ったものの1つです。
北里の東洋医学研究所で診療をしていたときの話です。患者さんは50歳前後の男性で、直腸癌でしたが、この当時はまだ患者さんに癌とは告知しないのが普通で、本人は直腸癌とは知りませんでした。患者として診ていたお兄様からの紹介で、「弟が大学病院で癌といわれたので診て欲しい」といわれ、来院されたのです。
 大学病院で診てもらった結果は、腹壁にまで広がった直腸癌で、stageⅣでした。この当時の直腸癌stageⅣの5年生存率は忘れてしまいましたが、現在でも18%程度で、10年生存率は数%と、厳しいものでした。しかし、手術予定ということなので、切除可能なようでした。これなら免疫力を高めて再発などを防げれば、可能性は低いですが、治癒するかもしれないと思われました。そこで、免疫力を高め、手術に対する体力をつけるという方針で、体質を考慮し、十全大補湯の煎じ薬を投薬しました。手術が終わってからも、抗癌剤や放射線療法の副作用の緩和、免疫力を高め癌の再発抑制のために漢方薬を続けて飲んでもらいました。経過は順調で、退院後も状態に合わせて漢方処方を変えながら、内服してもらいました。仕事に復帰して普通の生活に戻って、1年、2年とたちましたが、再発はなく、5年過ぎたところで、直腸癌であったことが本人に告げられました。本人は驚いたようですが、こちらはもっと驚いていました。あの状態で癌がほぼ治癒し、普通の生活をしているのですから。後で聞いたことですが、抗癌剤の投薬を受けていたのですが、飲むと調子悪くなるので(当然ですが)、ほとんど飲んでいなかった聞いて、、さらにびっくりしました(蛇足ですが、同様な状況でもまねはしないでください)。その後、私が北里を辞め、開業をしてからも、私のところに、漢方薬を飲んでいると調子よいからといって、通院されました。術後10年も問題なく過ぎ、70歳を越えてから、今までの無理がたたったのか、残念なことに、心不全で亡くなられました。
 この方の場合、科学的に漢方薬が効いたという証拠は何もないのですが、私は大学病院の治療とともに、漢方薬が効いて癌が治ったと思っています。あの状態の癌が治癒したのと、患者さんが印象的な方だったので強く記憶に残っています。

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2017年3月15日 水曜日

湿疹のある人は花粉に気をつけましょう

 スギ花粉の飛散がピークになっています。前回、花粉症の症状に喉の痛みやかゆみ、イガイガ感などもあるという話をしました。今回は皮膚に湿疹が出るという話です。
 皮膚がしっかりした状態であれば、花粉は中に入り込めませんから、何も起きません。ところが、皮膚が傷んでいると、花粉が皮膚の中に入り込むため、アレルギー性の炎症が起こり、湿疹を引き起こします。これは眼の周りで見られることが多く、赤くなり、かゆくなります。眼の周囲の皮膚は他と比べ薄く、常に外気と接し、さらに冬の寒気と乾燥で皮膚が傷んでいるので、花粉で湿疹を起こす人がいるのです。眼の周り以外ではあまり見られません。
 しかし、湿疹を持っている人、特にアトピー性皮膚炎の人は花粉に要注意です。春先は季節の変わり目で皮膚が悪くなると思っているアトピーの人が多いのですが、実は花粉が原因の場合がしばしばです。湿疹で傷んでいる皮膚には花粉が入り込み、湿疹を悪化させます。自分は花粉症だと思っている人は、花粉に注意するのでよいのですが、自分は花粉症ではない、皮膚と花粉は関係ないと思っているアトピー性皮膚炎の人が結構いらっしゃるのが問題です。アトピー性皮膚炎の人はアレルギーを起こしやすいので、スギ花粉との反応を検査すると、たいてい陽性に出ます。しかし、クシャミ、鼻水のような症状がでないことが多く、自分は花粉症ではない、と思っているのです。クシャミなどの症状が出ないのは、皮膚の方でアレルギー反応が多く消費されてしまうため、鼻の方でアレルギー反応がほとんど起きないためだと思います。そのため花粉症とは関係ないと錯覚してしまい、花粉をいっぱい浴び、皮膚を悪化させてしまうのです。
 これを防ぐため、花粉の多い日、風の強い日などは外出を避け、花粉を浴びないようにする、スキンケアをして皮膚を守るなどに気をつけると良いです。

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2017年1月28日 土曜日

花粉症の人は風邪を引かないように

 スギ花粉症の飛散の時期が近づき、花粉症の人には嫌な季節になってきました。今年のスギ花粉の飛散量は、関東地方では例年並みのようです。
 花粉症の症状は鼻水やクシャミ、眼のかゆみなどがよく知られていますが、喉のかゆみや痛み、喉のイガイガ感など、喉の症状の出る人もいます。これはひどくなると、咳が出始め止まらなくなり、さらには咳ぜんそくに移行することもあります。花粉症を持っている人で、喉の症状を自覚している人は多くはないので、自分には関係ないと思っている人も多いと思います。しかし、花粉症の人が風邪を引くと、喉の症状がしばしば現れます。これは風邪で喉の粘膜が傷んでしまうため、喉での花粉の反応が過敏となり、隠れていた症状が出てくるためと思われます。風邪引いて咳がなかなか止まらない、というのがそれです。花粉症はないと思っている人でも、隠れた花粉症があると、やはり風邪を引くと喉の粘膜が傷み、同様に咳が止まらなくなるということがあります。マイコプラズマや他の病気にしばしば間違われます。
 この状態になってしまうと、自然に咳が止まることは、花粉の時期が終わるまで、ほとんどありません。場合によっては咳ぜんそくに移行してしまいますので、治療するほうが無難です。
 治療は、漢方のブログですが、私は漢方薬だけではなく、強い現代薬を併用して治療します。そうしなければ、咳はなかなか止まりません。かなりひどい状態なのです。
 つまり、花粉症の人はこの時期、風邪を引かないように気をつけたほうが良いです。それには免疫力を落とさないように注意しましょう。漢方薬を飲んで、免疫力を上げるのも良い方法です。

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2016年12月19日 月曜日

かぜの予防

 風邪が流行っています。おまけにインフルエンザやノロウイルスも流行り始めました。これらにかからないようにするには、免疫力を落とさないように気をつけるべきです。そのために、一般に言われるのが、
1、過労
2、寝不足
3、夜更かし
4、ストレス
の4つを避けることで、実際そのとおりだと思います。しかし、仕事の関係で、避けたくても避けられないことも多く、どうしようもないこともしばしばです。
 その点、手洗いやうがいなど、無菌にして風邪を避けるという方法は、いつでも実行可能で、効果も高いと思われ、お勧めです。外から帰ったら、できるだけ何も触らないで洗面所に行き、石鹸で手を洗い、うがいをするのです。外で何か食べるときなども、石鹸で手を洗ってから食べるとよいと思います。
 
 過労や寝不足状態(免疫力が低下した状態)で人ごみの多いところに行くというのは、自殺行為に等しいですが、こういうときは、マスクをしたり、手袋をして素手であまり余計なものに触らないなどの注意をすべきです。マスク自体に予防効果はないといわれていますが、汚染された手で鼻や口の周りを触るのを防ぐ効果や、のどを乾燥から防ぐということで、効果があるといわれています。
 このほか、食事にうるさい私としては、質の良いものをバランスよく取る、というのも大事と思っています。逆に偏食や食事の時間が不規則、甘いものの過剰摂取など免疫力を落とすので避けたいです。冷える人はニンニク、生姜、トウガラシなど身体を温めるものを多めに取って免疫力を上げるとよいと思います。冷えない人でもかまいませんが、たくさんとりすぎて、汗をかきすぎるのはよくありません。身体が消耗しますし、後で身体が冷え、逆効果です。多くとも、軽く汗をかく程度にとどめるべきです。
 いくつか書きましたが、宣伝めいて言うのにためらいがあるのですが、私が一番効果があると思っているのは、体質に適した漢方薬を飲むことだと思っています。体質に適しているというのは、その人の生理痛なら生理痛が改善する、食欲がないなら食欲が出る漢方薬のことです。漢方治療は全体の歪を治して、部分の不調を良くするという治療なので、部分の不調が改善(生理痛なら生理痛が改善)しているということは、身体全体の歪が改善したためと考えられ、他の部分も良くなるのです。つまり生理痛が改善していれば、免疫力も改善し、風邪を引かなくなるということなのです。

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