患者さまのお悩み

2017年7月14日 金曜日

生薬について 2

 生薬の話の続きです。前回、動物由来の生薬はあまり使われないと書きましたが、保険薬として使われているものは、次の3つしかないようです。セミの抜け殻(「蝉退」といいます)と動物の皮を煮詰めた液を固めたもの(「阿膠」といいます)、カキの貝殻(「牡蠣」といいます)の3つです。動物は植物のように栽培して収穫ということが難しく、安定して供給されないため、利用しにくいのです。保険薬で使われているものは、安定供給されやすい(=あまり高くない)からですが、おそらく、飲みにくくないという理由もあるのではないかと思います。「飲みにくい」というのは、まずいという意味よりも、心理的抵抗という意味です。たとえば、ゴキブリ(「しゃ虫」といい、普通に見られるゴキブリではありません)を生薬として使うのです。煎じるとき、これを見たらぎょっとしますし、飲む気にならないですよね。普通はわからないように粉にしますが、中身を知ったら、人にもよりますが、飲み続けられるかどうか疑問です。値段も意外なことに高く、変動は多いですが朝鮮人参並みの価格はします。アブ(「虻虫」といいます)も生薬として使われますが、その姿を見て煎じ液を飲めますか?実は試しにと思い、昔、虻虫を煎じて飲んだことがあります。煎じ液には脂のようなものが浮き、不気味で気持ち悪く、少量口に含み飲むのがやっとでした。味は覚えていられないくらい心理的動揺は大きかったです。価格も、これはしゃ虫よりもはるかに高く、続けて飲める価格ではありません。こういうため、あまり使われることはないようです。
 見た目はともかく、価格の面で使いにくいものも多いです。その代表が牛の胆石(「牛黄」といいます)です。牛の胆石が薬となることも意外かもしれませんが、それより値段が高い!桐の箱に入り、数グラムで数万円で売られていても、驚くことはありません。相場です。他に高いものに熊の胆嚢(「熊胆」といいます)があります。これは入手困難な上、泣く子が黙るくらい値段は高いです。まだ高いものはたくさんありますが、要するに動物性生薬は高くてのみにくいのです。

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2017年6月14日 水曜日

身体がだるい時期です

 ここのところ、診察に来た患者さんに「調子はいかがですか?」と尋ねると、判で押したように「だるいです」という答えが返ってきます。これは温度変化が激しい最近の気候に身体がついていかないからだと思います。気候の変化に自律神経がついていかないのでしょう。夏場にクーラーのかかっている部屋と暑い外との出入りを繰り返していると、やはりだるくなります。これと似ているのかもしれません。
 こういう時期の注意を並べてみました。
1、睡眠を十分取る(できる限り早寝早起き)
2、夜遅く食べない、食べすぎない
3、水分を取りすぎない
4、できるだけ体温より低いものは口にしない
5、朝晩と昼の気温差に注意した服装にする
などに注意するとよいと思います。
 月並みなことしか言っていないですが、特別な方法は無いということです。
 ドリンク剤の類を飲む方もいますが、カフェインによる覚醒作用で一時的に元気になるだけなので、好ましいものとは思えません。これでしたら漢方薬をお勧めしますが、朝鮮人参が入ったもの、たとえば補中益気湯などがよいです。しかし、元気になると、さらに無理をする人が多く、かえって悪くなることがしばしばあります。
 月並みな方法をお勧めします。












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2017年5月24日 水曜日

生薬について

  漢方に使われている生薬について少しお話しましょう。
  生薬のほとんどは、いわゆる草根木皮です。この中には種子や実、きのこ類なども含みます。動物由来の生薬や鉱物由来の生薬もありますが、あまり使われません。保険の漢方薬で使われているのは、それぞれ2、3種類程度です。ほとんどが植物由来といってよく、それを煎じたものが漢方薬ですから、漢方薬は野菜のスープと考えられ、食事ともいえます。食事はお腹がすいている時に取るので、その考えから、漢方薬はお腹がすいたときに内服することになっているのです(これは原則で、必ずしも従う必要はありません)。韓国ドラマに「チャングムの誓い」というのがありました(見られた方も多いかと思います)が、中国の使者(糖尿病で体調良くない)が来たとき、厨房の女官であったチャングムたちが、食事で体調を回復させるというのがありました。これは食事で糖尿病に治療をしたのですが、薬が食事になっただけで、食事は薬ともいえ、薬と食事の区別はよくわからなくなっています。実際、料理でよく使われる生姜は漢方薬でもよく使われる生薬です。漢方では食べ物は薬は同じレベルのものと言ってもよいかもしれません。
 しかし、食べ物でも、ソバを食べてアレルギーを起こす人がいるように、漢方薬でもアレルギーを起こす人はいます。また、トウガラシなどを食べて胃を悪くしたり、下痢したりする人がいるように、漢方薬でも同様の胃腸障害を起こすことはあります。その他にも、少ないとはいえ、副作用がおきることはあるので、食べ物も全く安全とはいえないように、漢方薬も全く安全なものとはいえないので、ある程度の注意は必要です。といっても、食物と同じレベルで考えてもらえればよいので、さほど神経質になることはありませんが。
 生薬と漢方薬がゴチャゴチャになった話になっていますが、現代薬とちがって、漢方薬はかなり身近なもので、食事や食べ物と同じに考えるとわかりやすいです。

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2017年4月18日 火曜日

たまには症例を

たまには実際の症例の話をしましょう。今までで強く印象に残ったものの1つです。
北里の東洋医学研究所で診療をしていたときの話です。患者さんは50歳前後の男性で、直腸癌でしたが、この当時はまだ患者さんに癌とは告知しないのが普通で、本人は直腸癌とは知りませんでした。患者として診ていたお兄様からの紹介で、「弟が大学病院で癌といわれたので診て欲しい」といわれ、来院されたのです。
 大学病院で診てもらった結果は、腹壁にまで広がった直腸癌で、stageⅣでした。この当時の直腸癌stageⅣの5年生存率は忘れてしまいましたが、現在でも18%程度で、10年生存率は数%と、厳しいものでした。しかし、手術予定ということなので、切除可能なようでした。これなら免疫力を高めて再発などを防げれば、可能性は低いですが、治癒するかもしれないと思われました。そこで、免疫力を高め、手術に対する体力をつけるという方針で、体質を考慮し、十全大補湯の煎じ薬を投薬しました。手術が終わってからも、抗癌剤や放射線療法の副作用の緩和、免疫力を高め癌の再発抑制のために漢方薬を続けて飲んでもらいました。経過は順調で、退院後も状態に合わせて漢方処方を変えながら、内服してもらいました。仕事に復帰して普通の生活に戻って、1年、2年とたちましたが、再発はなく、5年過ぎたところで、直腸癌であったことが本人に告げられました。本人は驚いたようですが、こちらはもっと驚いていました。あの状態で癌がほぼ治癒し、普通の生活をしているのですから。後で聞いたことですが、抗癌剤の投薬を受けていたのですが、飲むと調子悪くなるので(当然ですが)、ほとんど飲んでいなかった聞いて、、さらにびっくりしました(蛇足ですが、同様な状況でもまねはしないでください)。その後、私が北里を辞め、開業をしてからも、私のところに、漢方薬を飲んでいると調子よいからといって、通院されました。術後10年も問題なく過ぎ、70歳を越えてから、今までの無理がたたったのか、残念なことに、心不全で亡くなられました。
 この方の場合、科学的に漢方薬が効いたという証拠は何もないのですが、私は大学病院の治療とともに、漢方薬が効いて癌が治ったと思っています。あの状態の癌が治癒したのと、患者さんが印象的な方だったので強く記憶に残っています。

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2017年3月15日 水曜日

湿疹のある人は花粉に気をつけましょう

 スギ花粉の飛散がピークになっています。前回、花粉症の症状に喉の痛みやかゆみ、イガイガ感などもあるという話をしました。今回は皮膚に湿疹が出るという話です。
 皮膚がしっかりした状態であれば、花粉は中に入り込めませんから、何も起きません。ところが、皮膚が傷んでいると、花粉が皮膚の中に入り込むため、アレルギー性の炎症が起こり、湿疹を引き起こします。これは眼の周りで見られることが多く、赤くなり、かゆくなります。眼の周囲の皮膚は他と比べ薄く、常に外気と接し、さらに冬の寒気と乾燥で皮膚が傷んでいるので、花粉で湿疹を起こす人がいるのです。眼の周り以外ではあまり見られません。
 しかし、湿疹を持っている人、特にアトピー性皮膚炎の人は花粉に要注意です。春先は季節の変わり目で皮膚が悪くなると思っているアトピーの人が多いのですが、実は花粉が原因の場合がしばしばです。湿疹で傷んでいる皮膚には花粉が入り込み、湿疹を悪化させます。自分は花粉症だと思っている人は、花粉に注意するのでよいのですが、自分は花粉症ではない、皮膚と花粉は関係ないと思っているアトピー性皮膚炎の人が結構いらっしゃるのが問題です。アトピー性皮膚炎の人はアレルギーを起こしやすいので、スギ花粉との反応を検査すると、たいてい陽性に出ます。しかし、クシャミ、鼻水のような症状がでないことが多く、自分は花粉症ではない、と思っているのです。クシャミなどの症状が出ないのは、皮膚の方でアレルギー反応が多く消費されてしまうため、鼻の方でアレルギー反応がほとんど起きないためだと思います。そのため花粉症とは関係ないと錯覚してしまい、花粉をいっぱい浴び、皮膚を悪化させてしまうのです。
 これを防ぐため、花粉の多い日、風の強い日などは外出を避け、花粉を浴びないようにする、スキンケアをして皮膚を守るなどに気をつけると良いです。

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田中医院 tel:03-3266-1407