患者さまのお悩み

2018年4月28日 土曜日

サプリメントを飲むなら・・・

サプリメントを飲む人が多くなってきたので、ふと思い浮かびました。
紀元前頃に書かれた『神農本草経』という薬物の有名な本があります。この本は生薬を上薬、中薬、下薬の3種類に分類しています。下薬とは「病を治す薬で、毒性が強いので、長きにわたっての連用は慎むべき」と説明され、附子や大黄などの生薬125種類が記載されています。これは現代でいう薬のことでは?と思うような説明です。現代薬の頭痛薬や風邪薬などの薬は具合の悪いときにだけ使用し、通常は連用しません。
 中薬は「養生の薬で、人に応じて無毒と有毒があり、適時配合して病を防ぎ、体力を補う」とあり、麻黄や牡丹皮などの生薬120種類が記載されています。現代薬の血圧を下げる薬や糖尿病薬、コレステロールの薬などはこれに近いように思います。たとえば、降圧剤は血圧の高い人には血圧を下げ、益となりますが、血圧が高くない人には血圧を下げすぎて害となります。糖尿病薬も血糖の高いのを下げるので、血糖値の高い人には益となりますが、普通の人には低血糖を起こし、害となります。この分野の薬は最近特に進歩してきましたが、『神農本草経』の中薬に似ていると思います。上薬とは「命を養う薬で、毒性は無く、多量に、長期服用しても人を害することはない。身を軽くし、気力を益す不老長寿の薬」と説明され、人参(いわゆる朝鮮人参)や大棗などの生薬120種類が記載されています。上薬は薬というより食べ物に近いものです。現代では、サプリメントがこれに近いかもしれませんが、サプリメントの過剰摂取は良いものとは思えず、また「身を軽くし、気力を益す不老長寿の薬」とも思えないので、上薬の方が高級な薬と思います。
 ここで感じるのは、現代薬が次第に漢方の考える薬に近づいてきているということです。現代薬は、漢方の下薬(病気のときにだけ飲む薬)に近いものでしたが、次第に中薬(状態に合わせて飲むと、健康に良い)という薬も重視されるようになり、上薬(寿命を延ばす薬)も必要という考えに変わってきました。そう考えると、最近でてきたサプリメントなどよりも、昔からの蓄積データがあり、効果も優れている漢方薬を飲んだほうがいいのでは、と思ってしまうのでした。

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2018年3月30日 金曜日

良薬口に甘し(続々)

「良薬口に甘し」は、本能に基づいたものだということを前回書きました。現代医学ではこういう考えはありません。薬はまずいものであり、副作用があるのが当たり前、という考えです。漢方では身体にあっていれば薬はおいしく、(必ずしも正しくはありませんが)副作用がないと考える立場と対照的です。現代医学では薬を内服すると気持ち悪くなる、食欲が落ちるなどは、普通にある副作用ということで片付けられます。胃薬を同時に内服してもらったり、投薬するのを中止しておしまいとなります。その薬が患者に適しているから副作用が少ないとか、逆に適していないから副作用が強い等々で処方をどうするか考えることはありません。そういう考え方がないのです。
 現代薬は薬をできる限り単一成分にして使います。病気に有効な植物などがあったなら、その中から余分なものを取り除き、一番有効と思われる物質のみに精製し、単一の物質にして使用します。たとえば、柳の樹皮から抽出され、合成されたアスピリンやキツネノテブクロ(ジギタリス)という植物から抽出された強心薬のジゴキシンなどが有名です。こういう精製された物質に対し、本能で良い悪いなどの判断ができるわけがありません。ジャガイモやサツマイモを精製してデンプン粉にしたら、本来の芋のおいしさがなくなり、味気のないものとなり、おいしいまずいなど判断できなくなるのと同じです。本能というのはおそらく今までの遠い先祖からの経験の蓄積と考えられますから、今までに接したことがない新しい物質にはお手上げです。本能を働かしようがないのです。
 そういうわけで、現代薬はまずくて当たり前かもしれなく、「良薬口に苦し」が当然のことで、本能を利用する「良薬口に甘し」という考えが入る余地はないのです。現代人は本能を使うことに慣れていないので、本来は「良薬口に苦し」のほうが奇異にもかかわらず「良薬口に甘し」というと、奇異に思ってしまうのです。現代薬に不信感を持つ人はこういうこともあるのかもしれません。

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2018年2月27日 火曜日

良薬口に甘し(続)

 漢方では「良薬口に苦し」ではなく「良薬口に甘し」というのだと、私は医学生のとき、漢方研究会の顧問の石原明先生からお聞きしました。最近ではしばしば耳にするようになり、多少陳腐な感じになってしまいましたが、そのときはとても新鮮で、感心した覚えがあります。
 動物は本能で自分の身体に必要なものがわかります。石原明先生はペットの病気を漢方薬で治療しておられました。その方法は、この動物の本能を利用するのです。つまり、その動物の病気に効きそうな漢方薬を何種類か選び、動物の近くに置いてやるのです。動物は自分の身体に必要な薬が本能的に、においなどでわかるらしく、身体に必要な薬(病気が治癒する薬)のところに行き、その漢方薬を飲む(なめる?)そうです。薬を飲めばしめたもので、その病気の動物は治るといっておられました。
 人間も動物なので、この本能があるはずで、身体にあっている薬はにおいも味も良く感じるはずで、それが「良薬口に甘し」なのです。疲れたりすると、甘いものが欲しくなるのも、これと似たようなことだと思われます(ただし、甘いもののとりすぎはよくありません、念のため)。
 例外もあります。漢方薬の桂枝茯苓丸を処方した患者さんがいたのですが、粉薬は苦手だというのです。身体に適した薬であれば、おいしく飲めるはずだと思い、粉薬で処方したのですが、理論どおりにいかず、患者さんは薬を飲めませんでした。自信を持って処方したにもかかわらず、予想外の結果にどうするか悩みました。粉薬だから薬が飲めないのか、薬が身体に適していないから飲めないのかわからないのです。迷った末、自分の診断を信じ、処方は桂枝茯苓丸のままとし、粉薬を丸薬に変更して投薬しました。今度は薬の内服に問題はなく、その結果、病気も良くなりました。
 漢方薬が身体に合っていていれば、必ず飲みやすいというわけではないようです。逆に、おいしく飲めても、身体に絶対適していると考えてはいけないということも悟りました。

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2018年1月26日 金曜日

良薬口に甘し

 漢方では「良薬口に苦し」ではなく「良薬口に甘し」としばしばいわれます。どういうことかというと、その人のからだにあっている薬(漢方薬)は、まずい薬でもおいしく(飲みやすく)感じるということです。逆にその人のからだにあっていない薬(漢方薬)は、おいしいはずの薬でもまずく(飲みにくく)感じるということも意味します。これは煎じ薬ですと味がダイレクトなのでわかりやすいですが、顆粒などの薬は乳糖など加えてあるのでわかりにくいということはありますが。黄連解毒湯という極めて苦く、まずい薬があります。身体に合っている人は、おいしいとはいいませんが、意外に平気で飲めてしまい、まずいとはあまり言いません。これをからだに合わない人に飲ませると、まずいし、飲みにくい、無理に飲むと気持ち悪くなると訴えたり、実際身体の不調もしばしばおきます。
 この考え方で漢方薬が適切かどうかある程度判断ができます(絶対ではありませんので、念のため)。漢方薬を飲んで、おいしく感じていればまず問題ありません。おいしく感じなくても、飲んで特に問題なければ(この場合が一番多いかと思います)、これも大丈夫でしょう(毒にも薬にもなっていないという場合もありますが)。まずいのを我慢して飲んだが、気持ち悪くなるなど不快な症状が起きない場合も大丈夫でしょう(まずいのに問題なく飲めたのですから、逆に薬があっている可能性は高いです)。においがダメというのは、薬があっていない可能性があります。おいしく感じようが、まずく感じようが、飲んだ後に気持ち悪くなるなどの不快な症状が出る場合も、薬が適切ではない可能性がかなり高いです。いつも飲んでいた薬が、風邪ひたり、胃腸の中止が悪くなって飲みにくくなる場合は、その間休薬するほうが無難です(なんでもない場合は飲み続けてかまいません)。大概は風邪などによる一時的な変調なので、風邪などが治れば普通に飲めるようになります。同じ薬を問題なく飲めていたものが、飲みにくくなった場合は、何か変化があったと考えられるので、休薬して診察してもらうとよいです。このような感じで漢方薬が適しているかどうかある程度判断できますが、絶対ではありませんのであしからず。

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2017年11月29日 水曜日

睡眠について

 昔に比べ睡眠時間が少ない人が増えています。実際、厚生労働省の統計でも、睡眠時間は短くなってきています。少ない人では5時間以下、6時間くらいの人はざらにというか、普通になっている気がします。私は7時間以上寝ないと頭が働かないので、7時間眠ったら寝すぎという人が多いのにも驚きます。
 睡眠時間が短くなるのは時代の流れだろうと思っていたのですが、どうも違う気がしてきました。睡眠時間が短い人はパソコンや携帯電話、ゲームなどの使用時間が長く、眼を酷使している人が多いからです。眼を酷使すると、睡眠の質が下がる上に、寝つきが悪くなる、疲れていてもなかなか眠れない、朝早く目が覚めてしまいそれ以上眠れないなどの症状が出ます。つまり眼を酷使することことで眠れなくなり、寝ようとしても眠れないので睡眠時間が短くなっているのではないか?と考えるようになりました。眼の使いすぎで寝ていることができない、眠れないのなら起きている方がよい、眠れないのだから睡眠時間は足りているということになり、寝る時間が少なくなっているように思います。やりたいことが多くて睡眠時間を削っているというより、眠れないので睡眠時間を短くしてしまっているということです。
 しかし、睡眠時間が少なくてよい身体になったわけではないので、これは健康に良いわけがありません。もしかすると睡眠時間が少ないので体調不良になり、田中医院に来るのか?と思えるほど眼を酷使している人が医院に来ます。アメリカの研究ですが睡眠時間は7~9時間の人が健康的で病気が少ないそうです。個人の体質を重視する漢方ではその人その人によって適正な睡眠時間は違うと考えるので、時間にはあまりこだわりませんが、現在の睡眠時間と質の悪さは異常に思えます。
 朝起きるのがつらい、疲れているのに眠れない、頭が重い、眼の奥が痛い、疲れやすい、眠いのに寝つきが悪い、肩こりがひどいなどの症状がある場合は、眼の使いすぎを疑ってみるべきです。睡眠は大事です。質の良い睡眠とある程度の時間を取らなければ、1日の疲労が回復するわけがありません。そうでなければ疲労が溜っていき、病気になるだけです。パソコンやスマホ、テレビ、本などを止めて眼を休ませ、質の良い睡眠とある程度の睡眠時間を取りましょう。

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