前回の続きというか、説明足らない部分の補足です。
 まず、内服する時間ですが、漢方薬は、原則は食間(食後2時間~食前1時間)です。これは、「食事として漢方薬をとる」という考え方からです。実際、薬効の弱い漢方薬を食間に飲むことは、吸収が良く、効果を発揮しやすい飲み方なのです。しかし、胃に負担がかかる飲み方なので、胃腸の弱い人では、胃がもたれる、食欲が落ちるなどの副作用が時々起きることがあります。この場合は、食間にこだわらず、食後1時間以内に内服することをお勧めします。医師からの指示が食間であってもかまいません。
 漢方薬の中には、八味地黄丸など胃に負担がかかるものがあります。こういうものは、私は通常、食後1時間以内に内服するように指示します。
 食間では飲む時間がないというような場合や飲み忘れてしまったときなども、薬効はやや落ちますが、食後や食前の内服でかまいません。 ちなみに、現代薬の内服が食後30分に多いのは、飲み忘れにくいなどもありますが、胃に負担がかかることも考慮されているのです。
 次に、これは患者さんから聞かれたのですが、「処方1つについて150mlのお湯で飲むのか」ということです。前回の説明が悪かったのですが、2種類でも3種類でも、一緒に飲むものはまとめて150mlです。1つ1つを150ml飲んでいたら、お腹が水だらけになってしまいます。まとめてお湯150mlに溶かして内服してかまいません。
 小児の場合は150mlでは多すぎます。年齢に応じて1/4~2/3の量にしてください。溶かすと飲みにくい場合は顆粒のままでも、あるいは、シロップなどと一緒に飲ませてもかまいません。それでいいのか?と疑問を持つ方もいるかもしれません(私も疑問に思っていました)が、小児の話ではありませんが、認知症の方に飲ませるのに、なんと!、ご飯にフリカケて、飲ませて(食べさせて?)、効果があったそうです。この話を聞いて、とりあえず飲んでもらうことが一番大事だと悟りました。

田中医院