最近、漢方薬を飲んでいるにもかかわらず、夏バテしました、といって再来する患者さんが、結構いらっしゃいます。身体がだるい、朝起きるのに時間がかかる、食欲がない、下痢気味になる、身体が冷えるなどです。夏の後半なら、仕方のないところですが、夏もまだ始まっていないようなときに、漢方薬を飲んでいるにもかかわらず、このようなことが、何人もの患者さんにおきるのはおかしいことです。
 そこで、患者さんによく話を聞いてみると、みな同じように、熱中症を心配して、水分をせっせと取っていることがわかりました。炎天下で働いている人や高齢者、病人ならいざ知らず、クーラーのきいているオフィスで働く普通の人が、熱中症の心配をするのは、それこそ杞憂です。水分の摂取は控えるべきです。飲むにしても、クーラーの中では、暖かいものにすべきで、しかも少量にしたほうがよいです。クーラーで身体が冷えているところへ、冷たい飲み物で身体の中も冷やすのはよくありません。胃腸が弱り、夏バテにつながります。夏はもともと胃腸系が弱る時期なので、胃腸に負担のかかる水分の取りすぎはよいことではありません。夏バテしたら、熱中症になりやすくなってしまいます。水分の取りすぎは、熱中症を防ぐのではなく、熱中症になりやすくなるのです。水分は控えめに。
 去年も同じようなことを書いたのですが、水分を取りすぎる人が多いので、再び書いてしまいました。

田中医院